シルバーパス

 小池百合子の演説

(首都大東京の理事長に)100歳まで学べる大学にしませんかということを申し上げている。
そして一人一人が学生になって、授業料を払っていただいて、まあ元気であるということとちょっとお金を持っているということが必要になりますけど、この方々にもう一度学んでいただいて、大学生になっていただいて、そしてシルバーパスを使うのも結構ですけども、学割で都のバスとかメトロとか営団地下鉄でサテライト大学に通ってもらう、そんな発想の転換をしましょうと私は申し上げています。

 シルバーパスを使うということと学割で大学へ通うということを混同して語り、これが発想の転換だという独りよがりについて、如何なものかと申し上げておきます。
 公共交通機関を使ったことがほとんどないだろう小池百合子らしい発言です。爺さん婆さんからシルバーパスを取り上げるという発想を音喜多なんたらがいっていましたが、彼らには政治に携わるものに重要な想像力が欠如しています。
 シルバーパスが存在することによって何が起きているのかについて考えが及んでいない。ただ単に経費の問題としてのみ存在している。石原慎太郎が廃止してしまった「都民カレッジ」が如何に多くの人たちに学ぶチャンスを提供していたことかということを想像する力を持ち得なかったのと同じです。
 首都大東京の学費がいくらくらいかといったらおおよそ年間に50万円強のようです。大沢キャンパスは京王線の奥にありますから、通学にもちろん経費がかかります。通学定期はその路線から外れるわけには参りませんね。それも知らないんじゃないかと思います。
 シルバーパスを買うのに、スティグマに駆られながら、そしてそれを使うのに、バスの運転手にわざわざ「お願いします」といって乗っていく爺さん婆さんのこともなにも彼女はご存じありません。